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「現場のデータは記録しているつもりなのに、いざトラブルが起きると原因が追えない」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、そうした課題を根本から解決する「データロギング」の意味・仕組みから、選び方・使い方まで網羅した実践解説です。
製造現場の担当者・品質保証部門の責任者・施設管理者など、「現場のデータをもっと活かしたい」と考えている方にとって、ヒントとなる内容をお届けします。
「ロギング(Logging)」とは、英語の動詞「log」に由来し、「記録をつける・記録し続ける」行為そのものを指します。
航海日誌(Ship's Log)に由来するとされる「ログ(Log)」は、時系列で出来事や計測値を記録した記録物を意味します。
データロギングとは、センサや計測器が取得した温度・電圧・振動などの数値データを、時刻情報とともに継続的に記録し続ける行為です。記録されたデータは「ログデータ」と呼ばれ、後から遡って状態を確認・分析する際の根拠となります。
参考:https://qiita.com/yaju/items/ae2767c5ebb64da5a096#%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%81%AE%E8%AA%9E%E6%BA%90
「データロガー(Data Logger)」と「データロギング(Data Logging)」は混同されやすい用語ですが、明確に区別できます。
データロガーは、センサからの信号を受け取り、内蔵メモリやSDカードへデータを自動記録するハードウェア装置を指します。
一方、データロギングはその装置が実行する「継続的にデータを記録する行為・プロセス」そのものです。
つまり「データロガーを使ってデータロギングを行う」という関係になります。
参考:https://www.hioki.com/jp-ja/learning/test-tools/data-loggers-explained
データロギングの最大のメリットは、「現場で起きたことを時系列で証明できる」点にあります。
人手による記録では、記録漏れ・転記ミス・測定タイミングのばらつきが避けられません。
データロガーによる自動記録は、設定したサンプリング間隔で24時間365日欠かさず測定値を保存するため、トラブル発生時の原因特定、品質保証のための記録提出、省エネ施策の効果検証など、客観的な根拠として活用できます。
医薬品・食品の温度管理記録や、精密部品輸送中の振動記録など、法的・規格的な証拠書類としても機能します。

「データロガーって具体医的にどんなものだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、温度・湿度から電力・振動・CO2まで、用途別に存在するデータロガーの種類と、それぞれが測定できる項目の全体像です。
食品・医薬品の品質担当者、電気設備の保全担当者、精密機器の輸送管理者など、「自分の現場に合ったロガーを選びたい」という方が、最適な機種を選定するための判断軸をつかめる内容をまとめました。
温度・湿度ロガーは、データロガーのなかでも最も普及している種類です。
熱電対・白金測温抵抗体(Pt100)・サーミスタなどのセンサを接続し、設定した間隔で温湿度を記録します。
食品・医薬品の冷蔵・冷凍輸送では、コールドチェーン全体の温度履歴をログとして保持し、品質保証の証跡として活用されます。
農業分野では、ビニールハウス内の温湿度を継続記録することで、作物の生育環境を最適化する管理に役立てられています。
電池駆動の小型モデルも多く、設置場所を選ばない汎用性の高さが特徴です。
参考:https://faq.fa.omron.co.jp/tech/s/article/faq06223
https://f-log.jp/media/useful/temperature-data-logger/
電圧・電流・電力ロガーは、分電盤や受変電設備に取り付けて使用する計測機器です。
クランプセンサを電流ラインに挟むだけで非接触計測が可能なモデルも多く、稼働中の設備を停止せずに導入できます。
記録した電力データを時系列で解析することで、ピーク電力の発生時刻・負荷設備の稼働パターン・電力消費の偏りを可視化でき、デマンドコントロールや省エネ改善策の立案に直接活用できます。
衝撃・振動ロガーは、3軸加速度センサを内蔵し、振動や衝撃、落下など外部からの影響を受けた瞬間を記録する装置です。
輸送管理の用途では、海外輸送中はその都度荷物の確認ができないため、衝撃ロガーを用いることでどのルートで衝撃が発生したのかを特定でき、輸送ルートの構築や梱包方法の見直しに活用できます。
また、工場設備の保全用途では、工場内の衝撃対象設備に取り付け、普段とは異なる値を記録した時に入念な点検を行い予防保全に役立てる活用も行われています。振動計測による予知保全については、振動は異音や熱といった症状より早く兆候が表れ、他のパラメータより早期診断に優れているとされており、モーターやポンプなど回転設備への振動ロガー設置が製造現場で広がっています。
参考:https://f-log.jp/shock_feature/
https://we-are-imv.com/support/library/vibration-measuring/vibration-measuring-03/#sec01
CO2・気圧・照度ロガーは、人が長時間滞在する空間や、保存物の品質に環境が影響する施設で使用されます。
オフィスでは、CO2濃度(単位:ppm)と作業効率の相関関係を把握するために使用され、換気設備の改善判断に役立ちます。
美術館・博物館では、絵画・工芸品の保存環境として温度・湿度に加えて照度(ルクス)・紫外線強度を継続記録し、収蔵品の劣化リスクを管理します。
「PLCでデータを取れるのは知っているけれど、ロギング機能をどう設定すればいいかわからない」という設備設計者やエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、三菱電機MELSECシリーズのPLC(シーケンサ)に搭載されたロギング機能の概要・設定手順・活用事例です。
三菱電機PLCを使った設備を担当している製造・エンジニアの方が、具体的な活用イメージを持てる内容をまとめています。
三菱電機のPLC(プログラマブルコントローラ)「MELSECシリーズ」には、専用のデータロギング機能が搭載されています。
MELSECiQ-Rシリーズやでは、CPU本体のパラメータ設定でデバイス(レジスタ・ビット)のサンプリング条件を定義するだけで、自動的に時系列データをCSV形式でSDメモリカードに記録します。MELSECiQ-FシリーズではCSVだけでなく、CPU内蔵メモリへの保存も可能です。
また、別途シーケンスプログラムを記述する必要がなく、ラダープログラムを変更せずにロギング設定のみで記録を開始できるため、既存設備への後付け導入も容易に行えます。
参考:https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/cnt/plcf/pmerit/movie_list/movie_tech_logging.html
MELSECシリーズのロギング機能では、収集したデータをPLC前面のSDメモリカードスロットに挿入したSDカードへ直接CSV形式で保存します。保存したCSVファイルは、三菱電機が無償提供するPC用ソフトウェア「GX LogViewer」を使用して時系列グラフとして表示・解析できます。GX LogViewerでは、複数デバイスのデータを同一タイムライン上に重ねて表示する機能や、指定範囲のデータをズームして詳細確認する機能が利用可能です。PLCとPCをUSBまたはEthernetで接続すれば、リアルタイムでのモニタリングも実施できます。
MELSECのロギング機能は、トラブル発生時の根本原因分析に特に有効です。
たとえば、生産ラインで突発停止が発生した場合、停止直前の各軸の速度・トルク・センサ信号の時系列データをログから抽出することで、「どのデバイスが最初に異常値を示したか」を客観的に特定できます。
品質トレーサビリティの観点では、各製品の加工時に記録した温度・圧力・タイムスタンプをログとして保存し、製品シリアル番号と紐付けて管理することで、製造履歴の証拠記録として活用できます。
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「データロガーを購入したが、サンプリング速度が遅すぎて欲しいデータが取れなかった」「チャンネル数が足りなくて追加購入が必要になった」という経験をした方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、購入後の失敗を防ぐためのデータロガー選定5つの重要ポイントです。
これからデータロガーを初めて導入する方、既存のロガーをリプレースしようとしている方が、仕様比較の際に見落としがちな項目を網羅的に確認できる内容です。
サンプリングレートとは、データロガーが1秒間に何回データを取得・記録するかを示す指標で、「サンプリング周波数(Hz)」または「記録間隔(秒)」で表記されます。温度・湿度など変化の緩やかな対象では1秒〜数分間隔で十分ですが、振動・衝撃の計測では1,000Hz以上の高速サンプリングが必要になる場合があります。
サンプリングレートが低いロガーで高速現象を測定すると、実際の変動ピークを捉えられず、「記録上は異常なし」という誤った結論に至るリスクがあります。測定対象の変化速度に対して十分な分解能を持つ機種を選定することが重要です。
データロガーの「チャネル数」は、同時に測定できるセンサの本数を指します。
1台のロガーで複数点を同時記録する場合、必要なチャネル数に加えて将来の拡張を考慮した余裕が必要です。
拡張ユニットを追加することでチャネル数を増やせる機種や、ワイヤレス子機を複数台接続して広いエリアをカバーできるシステム型ロガーも存在します。
配線の引き回しが困難な場所や、移動する対象物への設置には、Bluetoothや920MHz帯特定省電力無線を使用するワイヤレスロガーが有効です。H3:3. データの保存方法と通信方式(SDカード・USB・クラウド)
データロガーの保存方式は、SDカード・内蔵フラッシュメモリ・USB接続・有線LAN・Wi-Fi・クラウド転送など機種によって異なります。
SDカードへの直接保存はシンプルで信頼性が高い反面、定期的な物理回収と手動転送が必要です。LAN・Wi-Fi対応モデルは、ネットワーク経由でサーバやクラウドストレージへ自動転送が可能となり、複数拠点のロガーデータを一元管理できます。
長期記録の場合は、内蔵メモリの容量と上書き設定(循環記録か記録停止か)の仕様を必ず確認する必要があります。
データロガーの電源方式は、設置環境と運用形態に合わせて選定します。
電池式(乾電池・リチウム電池)は、電源コンセントのない場所や屋外・輸送中の記録に適していますが、電池寿命と交換管理が必要です。
ACアダプタ式は長期連続運用に向いており、電池切れによる記録停止リスクがありません。
USB給電対応モデルは、PCやモバイルバッテリーからの給電が可能で、可搬性と連続性を両立できます。
電池式を選ぶ場合は、設定したサンプリング間隔・記録期間でカタログ仕様の電池寿命が確保できるかを事前に計算して確認することが重要です。
データロガーの購入価格は、対象物理量・チャネル数・サンプリング速度・通信機能により幅広く、温湿度ロガーの小型モデルは数千円〜数万円程度、多チャンネル対応の高速電力ロガーや振動ロガーになると数十万円以上になる場合もあります。単発の測定調査や導入前の検証目的であれば、計測機器レンタル会社を利用することでイニシャルコストを抑えられます。レンタル利用の場合は、校正証明書の有効期限・対応センサの種類・最短レンタル期間の条件を事前に確認することが選定上の重要なポイントです。

「データロガーを購入したものの、どこから設定すればよいのかわからない」「記録したデータをどのソフトで開けばよいのか」と手が止まってしまった担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、データロガーを実際に使い始めるための3STEPと、データ回収から解析までの具体的な運用フローです。
データロガーを初めて使う設備担当者や、現場スタッフへの操作手順を整備したい品質管理リーダーが、設定から解析まで迷わず進められるように、各ステップの要点を具体的にまとめました。
最初に行うのは、データロガー本体またはPC用設定ソフトウェアを使った測定条件の定義です。
設定すべき主な項目は、①サンプリング間隔(記録間隔)、②記録開始条件(即時スタート・時刻指定・トリガ入力)、③記録停止条件(時刻指定・容量上限・手動停止)、④チャンネルごとの入力種別(熱電対の種類・電圧レンジなど)です。
トリガ機能とは、指定した信号(外部スイッチ・特定電圧超過など)を検知したタイミングで記録を自動開始または停止する機能で、必要な区間のデータのみを効率よく取得する際に有効です。
測定条件の設定が完了したら、センサを対象箇所に設置し、データロガーへ接続します。
熱電対・Pt100などの温度センサは、計測点の表面に密着するよう固定し、外気温の影響を受けないよう断熱処理を施すことで計測精度が向上します。
センサ接続後は、データロガーのロギング開始操作(本体ボタンまたはソフトウェアから)を実施します。
開始後は、表示部や設定ソフトで現在値が正常に表示されていることを確認し、想定外のエラー表示(断線・レンジオーバー)がないことをチェックしてからその場を離れることが重要です。
ロギング終了後は、SDカードの取り出し・USBケーブル接続・ネットワーク経由などの方法でデータをPCへ転送します。
多くのデータロガーは付属またはメーカー提供の専用ソフトウェアでCSVや独自フォーマットのログファイルを読み込み、時系列グラフとして表示する機能を持ちます。
グラフ上で異常値の発生時刻・継続時間・最大値・最小値・平均値を確認し、必要に応じてExcelへエクスポートして報告書を作成します。
複数チャンネルのデータを同一グラフ上に重ねて表示することで、複数物理量の相関関係を視覚的に把握できます。

「データは記録しているのに、現場を離れると確認できない」「記録したデータを見るのに、わざわざ現場まで行く必要がある」という課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、データロギングとIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の連携によって実現する「クラウド転送・リアルタイム監視・AI異常検知」の最新動向です。複数拠点の設備データを本社から一元管理したい方、IoT導入を検討しているがどこから始めればよいかわからない方に向けて、具体的な仕組みと導入のポイントをまとめました。
IoTとは「Internet of Things」の略で、これまでインターネットに接続されていなかった設備・センサ・データロガーといった「モノ」が、ネットワークを介してデータをやり取りできるようになる技術です。データロギングとIoTを組み合わせることで、現場のロガーが収集したデータをリアルタイムでクラウドサーバへ転送し、場所を問わずPCやスマートフォンから確認・分析できる環境が整います。
製造業では機械の稼働状況・振動・温度データをIoTで収集して故障を未然に防ぐ「予知保全」への活用が進んでいます。
IoTについて詳しくはアルファメーション株式会社のIoTサービスページ(https://www.alphamation.jp/services/iot-rl14y)もご参照ください。
Wi-FiやBluetooth、920MHz帯特定省電力無線に対応したワイヤレスデータロガーの普及により、配線工事なしでロギングシステムを構築できる環境が整っています。
スマートフォン専用アプリと連携するモデルでは、現場から離れた場所でもリアルタイムに測定値を確認でき、設定した閾値を超えた場合にプッシュ通知でアラートを受け取る機能を持つ製品も広く提供されています。
クラウドサービスと連携するロガーシステムでは、複数拠点のデータを単一のダッシュボード上に集約し、支店・倉庫・農場など分散した拠点の環境管理を本社から一括で実施することが可能です。
蓄積したロギングデータにAI(機械学習)を適用することで、従来の「閾値超過アラート」では検出できなかった微細な変化パターンの異常検知が可能になっています。たとえば、設備の振動データの周波数分布が過去の正常時と比べて特定の成分で変化し始めたことを自動で検出し、故障に至る前に保全を促す「予知保全」への応用が製造業で実用化されています。
また、定期的な報告書の作成をシステムが自動化する「自動レポート機能」を持つクラウドロギングサービスも増えており、日次・週次・月次の環境記録報告書をPDF形式で自動生成・送付する運用が実現しています。
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「データロギングを導入しようと調べ始めたら、専門用語が多くて何が違うのかわからなくなった」「校正証明書が必要と言われたけれど、なぜ必要なのか理由がわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、データロギングの導入検討・運用開始の段階で実際に寄せられる3つの疑問への回答です。
「ロギング」と「キャプチャ」の使い分けに迷っている方、取引先から校正証明書の提出を求められて困っている方、予算をかけずにまずPCでロギングを試したい方に向けて、それぞれ具体的に解説します。
「ロギングする」と「キャプチャする」はいずれも「データを記録する」という意味で使われますが、ニュアンスに違いがあります。
「ロギング(Logging)」は、時系列で継続的にデータを記録し続ける行為を指し、長時間にわたる変化の記録・蓄積を前提としています。
一方、「キャプチャ(Capture)」は「ある瞬間の状態を取得・捕捉する」という意味合いが強く、静止画・スクリーンショット・パケットキャプチャのように特定の瞬間や区間を切り出す操作に使われる場合が多い用語です。
データロガーで記録した数値の信頼性は、センサおよびロガー本体の計測精度が基準値に対してどの程度一致しているかに依存します。
校正証明書とは、国家計量標準にトレーサブルな基準器と比較測定を実施し、計測誤差が許容範囲内であることを証明する文書です。
校正は定期的(一般的に年1回程度)に実施し、証明書の有効期限内のロガーを使用することが重要です。
参考:https://f-log.jp/media/useful/calibration_datalogger/
無料で利用できるPC用ロギングソフトウェアとして、いくつかの選択肢があります。
三菱電機の「GX LogViewer」はMELSECシリーズのロギングデータを解析するための無償提供ソフトウェアです。
また、オープンソースのデータ収集・可視化プラットフォームとして「Grafana」があり、各種データソースと連携してリアルタイムグラフ表示や履歴確認が可能です。
各データロガーメーカーも自社製品専用の無償ビューアソフトを提供していることが多いため、購入するロガーのメーカーサイトで対応ソフトウェアの有無を確認することをお勧めします。

本記事では、データロギングの基本的な意味から、データロガーの種類・選び方・具体的な使い方、三菱電機MELSECシリーズのロギング機能、そしてIoTやAIとの連携による最新動向まで、一気通貫で解説しました。
データロギングの本質は、「その場にいなくても、現場で何が起きていたかを時系列で客観的に証明できる」点にあります。
温度・電力・振動・CO2など、計測対象は異なっても「記録を残す」という行為が、品質保証・トラブル解析・省エネ改善・予知保全すべての基盤となります。